開発点光 #03 | 身体を「ととのえる」TANDEN PANTSができるまで ①

RELIEFWEARが考える「ととのえる」は、身体をあるべき姿へ導くこと。
ととのえるプロダクト第1弾は「TANDEN PANTS」(タンデンパンツ)。
開発ストーリーや製品の特徴を、5回にわたりお届けいたします。

① 身体の理想の状態とは?「上虚下実」 2020.09.01公開
② 自然体とは真逆? 現在の私たちの身体 2020.09.04公開
③ 身体を「ととのえる」TANDEN PANTS 2020.10.09公開
④ TANDEN PANTSの履き方
⑤ TANDEN PANTSの生地と色

  

① 身体の理想の状態とは?「上虚下実(じょうきょかじつ)」

 

「上虚下実」という言葉をご存知でしょうか?

理想の身体はどんな状態なのだろう?と疑問を持った時に出会った言葉でした。

 

「上虚下実」とは、上半身は無駄な力が抜けていて、下半身はどっしりと安定感があり充実している状態。東洋では、昔から理想とされた姿勢で、確かに日本の仏像の佇まいには表れています。

「上虚下実」の姿勢は、腰と肚(はら)を要とする中心感覚が重要とされ、以前の日本人には身についていたのだそう。

画像:『百年前の日本 -モース・コレクション 写真編- 』より

 

明治時代以前は、田植えなどの農作業・床に座る習慣・しゃがむことの多い炊事洗濯の家事労働など、強い足腰を必要とする生活です。

キモノ・袴・野良着など当時の衣服も、骨盤を腰紐で締め、胴体に帯を巻いて、下半身を安定させる仕様でした。

画像:『モースの見た日本 -モース・コレクション 民具編-』より

 

衣服自体が、腰と肚を要とする中心感覚を持たせ、「上虚下実」を身につける手助けをしていたのですね。 

この「上虚下実」との出会いが、身体をあるべき姿に「ととのえる」パンツ開発の礎となりました。

 

現在は生活様式も衣服も変化し、腰と肚を要とする中心感覚が失われつつあると言われています。しかし身体にとって、あるべき姿や理想の状態は変わりません。

 

次回は、身体の理想「上虚下実」に対して、現在の私たちの身体がどのような状態なのかを考えてみます。

 

参考文献:『美しい日本の身体』矢田部英正 著 / 『身体感覚を取り戻す-腰・ハラ文化の再生』斎藤孝 著