なにすてた? #01 dansko 荒井博子さん | 後編 手放してもなお残ったもの

仕事に家事に、ひとによっては育児や介護。
忙しく働くわたしたちは、こころも身体も重くなりがち…ですよね?

いつも軽やかで、すこやかなひと。
ときどき出会うそんなひとたちは、「手放し上手」だって思います。
手放すことで気づき、前に進むことがある。それがこころと身体の養生につながるように思うのです。

さまざまなことを見つめ直すこのご時世。
連載企画「なにすてた?」では、素敵なひとたちのこころの断捨離ものがたりをお聞きしていきます。

 

前編 「ダンスコとの出会いからすべてはじまった」では、いまの荒井さんを形づくるターニングポイントと、手放したことについて伺いました。

後編 手放してもなお残ったもの

◆手放すこととは反対に、何かを選択するときに大事にしていることは何ですか?

「直感」
直感には素直に従いたい。

これもアメリカにいるときに、友人と「大切なことは全部自分の中にあるんだよね」という話をよくしていました。
その自分の中の楽しそうな直感に従うこと。何かを始めるときに、明るくなったり楽しい感じのする方を選んでいます。

頭で考えて損得だとか確実で安全だとか、そうして選んだものは、結局大切な自分がつまらないことが多くて。
不確かでもなんだか楽しそうな方を選ぶようにしています。

やりたいことを言わないと何も始まらない環境や、周りにいた一歩進んだ友人とのアメリカでの生活が、そういう選択をする訓練や勉強になったんだと思います。

 


「ネガティブなことを言う人はシャットダウン」 

ダンスコを始めた時は、友人や両親など心配してくじけそうになるアドバイスをくださる方がいました。
そんな時、やりたいんだからやるんだという気持ちで、自分にとっての正解を選べるよう、周りの否定的な声はシャットダウン(笑)していましたね。
今思えば、ありがたいと思える助言でしたが、自分のエネルギーが漏電しないように、溜められるようにしています。




◆すこやかでいるために続いている習慣や始めたことも教えてください。

10年くらいずっと、自宅から事務所まで1時間ほど歩いて通っています。
歩いていると何かをひらめくことや、やるべきことが整理して見えやすくなって続けています。

けれど、コロナ禍でリモートワークも増えて、歩く機会が少なくなり、
あらためて運動したいなと思うようになりました。

ゆるくヨガをやったり、整体に行ったり、あたためアイテムに頼ったり、
今まであまり運動らしい運動はしてこなかったんです。

けれど最近、自力で発電できる身体になりたい。
そんな風に思うようになり、自分の身体に必要なことを見つめ直す機会もあって、
パーソナルトレーニングにも行き始めました。

身体のことで相談やアドバイスをもらったり、自分に必要な運動を教えていただけたりと
ゆっくり身体づくりをしていけたらと思っています。




◆番外編 胃腸が軽やかでいるためのレシピ

養生のため、胃が疲れたときに荒井さんがきまって食べるという中華粥のレシピを教えていただきました。


荒井さんのつくった中華粥。簡単で美味しいのでぜひ!

 
材料(一人分)
・お米 半合
・熱湯 800ml~1L
・しょうが 1かけ
・ごま油 少々
・塩   少々

お好みでトッピング
・ねぎ、干しエビやホタテ、ピータンやザーサイ

1.しょうがを細かく切り、ごま油で炒める。
2.お米半号をその中に入れ、数分ほど中火で全体に油がまわるまで炒める。
3.その中に熱湯を入れ、60分ほど弱火でお米が割れてさらっとしたおかゆ状になるまでゆっくり煮る。お水が足りない場合は足す。
(アメリカではクラッシュドライスが売っており使っていたのだそう。熱湯を入れることでお米がはじけ、早く炊き上がる。)
4.最後に塩で味を整える。お好みで細かく切ったトッピングを乗せるのもおすすめ。


アメリカに行ったときにも、チャイナタウンで必ず食べるという中華粥。
荒井さんはピータンを細かく刻んだりするのがお好みだとか。
簡単で美味しくて、胃が疲れた時におすすめのレシピです。



◆自分に問いかけることの大切さ


眺めが良くて風通しのよい、表参道のダンスコの事務所。

コロナ禍で時間もでき、人にも会わなくなったので、改めて自分にもう一度問いかけてみたいと思った荒井さん。
棚の中を端から確認したり、化粧品や洗剤など無駄がないか、
生活のことや身体についても、今の自分にとって必要かどうか、1つ1つ問いかけていったそう。

そこで気づいたのは、基本に戻ってみたいということ。
早寝早起きとか、ゆっくりご飯をつくってゆっくり食べるとか、
ごはんにお味噌汁にお漬物とか、シンプルなことが改めて大事だなと感じたそう。


それから、誰かがおすすめしてくれた何かに振り回されず、
"自分の身体に必要なことを自分で考える”という時間が必要なのかな、とも語ってくれました。


荒井さんのお話を聞いていて思ったのが、自分の内側に問いかけることを常にしている方だということ。
問いかけて必要のないことを常に断捨離しているから、いつも軽やかにいられるのだと、
清々しい気持ちでインタビューを終えました。



PROFILE

荒井博子さん
アメリカ発のコンフォートシューズ「ダンスコ」のブランドディレクター。
2008年より日本でダンスコを紹介し、荒井さんのシンプルでナチュラルなファッションや着こなしも人気。

履き心地の良さとデザイン性を兼ね備えた靴として定評のあるダンスコは、表参道、名古屋の直営店の他、全国に多くの取扱店がある。
http://www.dansko.jp/