ご自愛おやつ -師走-

忙しない1日の中でも、ほんの少しだけ、身体もこころも解けるおやつの時間を。
そんな思いで始めた連載です。 

「おやつ」の語源は、江戸時代の午後2時〜4時に当たる「昼八つ」に由来するそう。
1日2食だった時代、体力維持のためのエネルギー補給や気分転換の役割を担ったおやつ。 

いまの私たちにも、ひと月ごとに少しずつ変化する季節や身体に合わせて、手軽で美味しく。
身体もこころも休んで満たされる、ご自愛おやつを。

ムジナの庭さんとご一緒に、毎月お届けしています。

師走のおやつ 大根もち

材料2人分

・大根 90g(細めの大根なら輪切り2cm厚くらい)
・上新粉 40g(なければ片栗粉20g+小麦粉20g
・水 大さじ2
・塩 小さじ1/3
・桜エビ 3g=カレースプーン約1杯(かまぼこ、ベーコンなどでも
・ごま油 大さじ½
・しょうゆ 適量

<道具>
包丁、まな板、フライパン、ふた、ガスコンロ、おろし器、計量カップ、計量スプーン、ボウル、器

作り方(4枚分)

①大根はおろし器ですりおろす。
(鬼おろしで粗目におろすと、違った食感で味わえます)。
②ボールに①、上新粉、水、塩、桜エビを入れて混ぜ合わせる。
③フライパンを温め、ごま油をひいて②を入れる。
④水大さじ1強(分量外)を加え、フタをして2分ほど蒸し焼きにする。
⑤裏返して、両面に焼き色がつくまで焼いたら、しょうゆを薄く塗る。

 

師走のご自愛POINT  Fromムジナの庭

二十四節気の「大雪」、そして「冬至」とめぐっていく12月。
本格的な冬の到来ですね。 

東洋医学の古典書では、身体の「陽気」(温かい気)を逃さないためにも
「冬は早く寝て、朝は陽が射してから起きなさい。暖かくし、行動や気持ちも控えめにして体力・気力を温存しなさい」
と説かれています。

植物が地中で春を待つように、動物が洞穴で冬眠するように。
冬は人間も少しセーブモードで暮らすのが「養生」になるんですね。

今回のおやつは、寒さとともに旬を迎える冬大根を使った大根もち。
冬の土の中で滋養を蓄えた根菜類は、この時季に味わいたい食材です。

大根は、消化を助け、気の巡りをよくする食材。
ごちそうを食べる機会が増えるこの時季、胃もたれやお腹のはりをケアしてくれます。 

もっちり、あつあつ。
冬晴れのやさしい陽射しに包まれながら、ほっこり食べたいおやつです。 

文:鍼灸師 柳田りつこ(ムジナの庭)

  

撮影後記 From RELIEFWEAR

大根のさっぱり感に、上新粉のもちもち感。
桜エビやごま油がアクセントになり、おかずのように満足感のある今月のおやつ。
今回は最後にしょうゆをたらり。
ですが、胡椒やかつおぶし、青のりなど、お好み焼きのようにトッピングしたり、具材を変えて楽しんでみるのもいいですね。

今年もあとわずか。
この1年がんばってきた身体とこころの養生をしたい時期でもあります。
1年の締めくくり。年中行事には、少しずつ日々積み重なった穢れを祓う、大祓の儀式があります。

消化を促す大根を使ったおやつで、おいしく楽しみながら、胃腸もすっきり。
デトックスするのもいいかもしれません。


教えてくれたひと
ムジナの庭 主宰 鞍田 愛希子さん、鍼灸師 柳田りつこさん

“何歳からでもリスタートできる社会へ”をテーマに、20213月に東京都小金井市に誕生した福祉施設「ムジナの庭」。
生活や就労に障害のある方が心身のバランスを取り戻していくため、生活や仕事の支援のほか、植物を糸口にからだやこころのプログラムを行なっている。

鞍田さんが立ち上げたムジナの庭で、ボディケア担当をされている鍼灸師 柳田さんに教えていただきました。

https://atelier-michaux.com
instagram atelier_michaux

©️Mao Yamamoto