ご自愛おやつ -睦月-

忙しない1日の中でも、ほんの少しだけ、身体もこころも解けるおやつの時間を。
そんな思いで始めた連載です。 

「おやつ」の語源は、江戸時代の午後2時〜4時に当たる「昼八つ」に由来するそう。
1日2食だった時代、体力維持のためのエネルギー補給や気分転換の役割を担ったおやつ。 

いまの私たちにも、ひと月ごとに少しずつ変化する季節や身体に合わせて、手軽で美味しく。
身体もこころも休んで満たされる、ご自愛おやつを。

ムジナの庭さんとご一緒に、毎月お届けしています。

睦月のおやつ 黒豆まんじゅう

材料2個

・黒豆甘煮 1020粒(お好みで)
・小麦粉 30g
・砂糖(きび砂糖) 小さじ1
・塩 ひとつまみ
・水 大さじ2 

<道具>

蒸し器または蓋付き鍋+耐熱のお皿・ボール・スプーン・クッキングシート・器

作り方

①ボールに小麦粉、砂糖、塩を入れよく混ぜてから、水を加える。
②黒豆を加え、ざっくり混ぜる。
2等分してクッキングペーパーにのせる。
④蒸し器または鍋にお湯を沸かす。
⑤蒸気が上がったら④を並べ、中火で20分ほど蒸す。

*蒸し器がなければ、鍋に写真のようにお皿を2枚重ね、その上にを並べます。 
 空焚きにならないように、時々様子をみて水を足してください。 

睦月のご自愛POINT  Fromムジナの庭

東洋医学には「季節の色」というのがあり、冬の色は「黒」。

 黒い食材(黒ごま、黒豆、黒米、のり、昆布、しいたけなど)は冬にダメージを受けやすい五臓の「腎」を補うとされています。

腎はエネルギーの源とされ、この時季にしっかり「腎」を補うことは、身体の「底力」を養うことにつながります。

そこで今月は黒豆を使ったおまんじゅうをご紹介します。
東海地方の郷土おやつ「鬼まんじゅう」をヒントにした素朴でむっちりとした食感。 

湯気があがる蒸したてをハフハフと味わうのは、寒い時季ならではの楽しみかもしれませんね。

二十四節気で「小寒」「大寒」と続く1月。
寒が明けると、季節はぐるっとひと回り。
新しい二十四節気の始まり「立春」までもう少しです。 

春にいっせいに芽吹く植物たちが、寒さの中でエネルギーを蓄えるように。
養生しつつ、日々を過ごしていきたいですね。

黒豆まんじゅうに合わせたのは、番茶に陳皮を加えた「陳皮番茶」。

陳皮はみかんの皮を干したもので、漢方では気の巡りをよくして胃の働きを活発にすると言われています。

みかんの香り成分・リモネンにはリラックス効果も。
年末年始で疲れた胃腸と心をケアしてくれます。 

陳皮はみかんの皮を1週間くらい天日に干すだけで簡単に作れます。
(農薬などが気になる場合は、一度湯通ししてから干してください) 

文:鍼灸師 柳田りつこ(ムジナの庭)

  

撮影後記 From RELIEFWEAR

今回は黒豆の甘煮を活用したご自愛おやつ。

 むちむち食感に、ほんのりした甘み。
市販の加工品をうまく使いながら、加えるお砂糖の量で、自分好みの甘さに調節できるのもいいなと思いました。 

白い湯気が上がるのを見ながら、何もせず、ぼーっと出来上がりを待つ時間。
そんな時間も大切ですね。こころまで、ふわっと緩みます。 

陳皮入りの華やかで香ばしいほうじ茶と合わせて、ほっと一息。
冬のあいだは、おいしくご自愛しながら、エネルギーを蓄えていきたいです。 

立春を迎えた2月から、ムジナの庭さんと一緒に1年間連載してきた「ご自愛おやつ」。
毎月、楽しんでいただけましたでしょうか?
おやつを食べながら、身体もこころも、美味しくひと休みして、どうぞご自愛くださいね。


教えてくれたひと

ムジナの庭 主宰 鞍田 愛希子さん、鍼灸師 柳田りつこさん

“何歳からでもリスタートできる社会へ”をテーマに、20213月に東京都小金井市に誕生した福祉施設「ムジナの庭」。
生活や就労に障害のある方が心身のバランスを取り戻していくため、生活や仕事の支援のほか、植物を糸口にからだやこころのプログラムを行なっている。

鞍田さんが立ち上げたムジナの庭で、ボディケア担当をされている鍼灸師 柳田さんに教えていただきました。

https://atelier-michaux.com
instagram atelier_michaux

©️Mao Yamamoto