ご自愛おやつ -神無月-

忙しない1日の中でも、ほんの少しだけ、身体もこころも解けるおやつの時間を。
そんな思いで始めた連載です。 

「おやつ」の語源は、江戸時代の午後2時〜4時に当たる「昼八つ」に由来するそう。
1日2食だった時代、体力維持のためのエネルギー補給や気分転換の役割を担ったおやつ。 

いまの私たちにも、ひと月ごとに少しずつ変化する季節や身体に合わせて、手軽で美味しく。
身体もこころも休んで満たされる、ご自愛おやつを。

ムジナの庭さんとご一緒に、毎月お届けしています。

神無月のおやつ おいもとレモンの甘煮

材料(作りやすい分量)
・さつまいも 250g(目安:中1本、今回は小3本)
・レモン 1/2個(薄切り1枚+レモン汁大さじ2)*
・はちみつ 大さじ2
・水 適量(11.5カップ)

*濃縮還元タイプのレモン果汁でも代用OKです。

<道具>
包丁・まな板・小鍋・ガスコンロ・ボウル・スプーン・器

作り方 

①さつまいもは皮のまま1cm厚に切り、軽く水にさらし、水気を切る。
②レモンは薄くスライスし、いちょう切りにする。残りは絞る。
③鍋に①、レモン汁、はちみつを入れ、いもがかぶるくらいの水を加える。
④中火にかけ、煮立ったら弱火にし、アクを取り1015分やわらかくなるまでコトコトと煮る。
⑤最後にスライスしたレモンを加え、サッと煮る。
⑥火を止め粗熱を取り、23時間おく。

神無月のご自愛POINT  Fromムジナの庭

ようやく気候が落ち着き、少しずつ秋らしさを感じられるようになりましたね。
秋は、夏の暑さでダメージを受けた身体を癒して体力を回復し、厳しい冬を迎えるための準備期間。 

とくに秋分を過ぎたこの頃は「陰陽平衡」。
寒さ暑さなどのバランスが取りやすく、一年の中でも過ごしやすい時季。
芸術、読書、スポーツ・・・
心地よいものにたくさんふれて、心身ともに「栄養」を蓄えたいですね。 

食養生では、乾燥を防ぐために「潤い」のあるもの(旬の果物など)を取ること。
冬の寒さに備えてイモ類、栗、米などを摂り、元気を養うことが大切とされています。

今回は、旬を迎えて甘さを増すさつまいもに、はちみつとレモンを組み合わせました。
薬膳では「酸甘化陰」といって、酸味と甘味の組合せは身体を潤すと考えます。
はちみつは腸を潤し便通をよくするといわれ、乾燥によるこの時季の便秘にも◎ 

ほっくり甘いおいもに、レモンの酸味がさわやかなデザートです。
お好みで最後にバターを入れて煮ると、よりスイーツらしくなります。 

冷蔵庫で3日ほど保存OK。味がしみ込み、しっとりとした食感になります。 

文:鍼灸師 柳田りつこ(ムジナの庭)

 

撮影後記 From RELIEFWEAR

実りの秋。こっくりとした、おいもの美味しい季節です。
ついつい食べ過ぎてしまう食欲の秋でもありますが…。
さつまいもの甘みを生かしたおやつなら、沢山食べてもきっと大丈夫 笑 

今回のおいものおやつは、甘さほんのり、レモンのほどよい酸味。
出来上がりは、ほくほく。味がしみたら、しっとり食感。
違いを楽しむのも楽しいかもしれません。 

弱火でコトコトと煮るのが、おいもの美味しさを引き出す秘訣。
鍋の中で小躍りしながら色濃くなるおいもを眺めつつ、じんわりゆっくり過ごす。
そんな秋の養生時間もいいですね。

 

教えてくれたひと
ムジナの庭 主宰 鞍田 愛希子さん、鍼灸師 柳田りつこさん

“何歳からでもリスタートできる社会へ”をテーマに、20213月に東京都小金井市に誕生した福祉施設「ムジナの庭」。

生活や就労に障害のある方が心身のバランスを取り戻していくため、生活や仕事の支援のほか、植物を糸口にからだやこころのプログラムを行なっている。

鞍田さんが立ち上げたムジナの庭で、ボディケア担当をされている鍼灸師 柳田さんに教えていただきました。

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©️Mao Yamamoto