ご自愛おやつ -長月-
忙しない1日の中でも、ほんの少しだけ、身体もこころも解けるおやつの時間を。
そんな思いで始めた連載です。
「おやつ」の語源は、江戸時代の午後2時〜4時に当たる「昼八つ」に由来するそう。
1日2食だった時代、体力維持のためのエネルギー補給や気分転換の役割を担ったおやつ。
いまの私たちにも、ひと月ごとに少しずつ変化する季節や身体に合わせて、手軽で美味しく。
身体もこころも休んで満たされる、ご自愛おやつを。
ムジナの庭さんとご一緒に、毎月お届けしています。
長月のおやつ 梨のホットドリンク
材料(2人分)
・梨 1個
・はちみつ 大さじ1
・水 50cc
・クコの実(あれば) 適量
<道具>
包丁、まな板、おろし器、小鍋、ガスコンロ、スプーン、器
作り方
①梨は皮をむいて芯を取り、すりおろす。
②小鍋に①、はちみつ、水、クコの実を入れ、火にかける。
③弱火で3分くらい、とろみが出るまで煮る。
長月のご自愛POINT Fromムジナの庭
残暑が続いていますが、暦の上では処暑を過ぎて、季節は秋。
暑さばかりに気を取られてしまいますが、秋に向けた養生もそろそろ始めましょう。
江戸時代の健康本ベストセラー『養生訓』には、
“秋は夏の間に開いていた皮膚がまだ閉じていない。
そこに冷たい秋風を受けると傷つきやすい”とあります。
涼しい秋風は心地よいですが、油断して当たりすぎると冷えや乾燥といったトラブルが起きやすくなります。
出かける時は薄手のストールなど羽織るものをもつ、
乾燥対策に保湿クリームを用意するなど、
早めの冷え&乾燥対策が健やかな秋を過ごす一歩に。
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今回のおやつは、身体を内側から潤してくれる「梨」。
梨は、薬膳では身体の中の余分な熱を逃し、肺やのどを潤してくれる食材。
暑さと乾燥の両方が気になるこの時季にぴったりの果物です。
すりおろしてから、こちらも潤いを補うはちみつを少量加えて、
ことこと煮ると、シャリシャリとろっとした食感になります。
9月の身体は思っている以上に、夏のダメージで疲れています。
やさしい甘味ととろみでのんびりしながら、あせらずに。
まずは身体を休め、ゆっくりとモードチェンジしていきたいですね。
番外編ですが、今回のドリンクに使ったクコの実。
「買ったもののずっと冷蔵庫に入ったまま」ということも多いのでは?
余ったクコの実は、清潔な瓶に入れ、ひたひたのはちみつで漬けておくのがおすすめ。
クコの実は、薬膳では血を補い、滋養強壮によい「不老長寿の薬」とも言われています。
ヨーグルトに入れたり、お湯で割って飲んだり、照り焼きに使ったり、クリームチーズにかけたり。
咳や肌の乾燥、ドライアイ、目の疲れにもよいとされています。
私はパソコン作業で「目が疲れたなー」という時には、そのまま何粒か口に含んで、「プチ養生」しています 笑。
文:鍼灸師 柳田りつこ(ムジナの庭)
撮影後記 From RELIEFWEAR
猛暑続きで長かった今年の夏。
ちょっと外を歩いたら、汗はだらだら、暑さでへとへと。
からからの喉に、ついつい冷たいものへ手が伸びてしまった日々。
胃のあたりが、なんだかズーンと冷たさと重さを感じる日が続いていました。
そんなお疲れモードの身体に染みわたる、今回の「梨のホットドリンク」。
ほんのり甘ずっぱいクコの実がアクセント。
梨の涼やかな甘みに潤され、シャリトロな食感と温かさに胃腸も癒されて。
あー、これこれ。いまわたしの身体が求めていたのは…。
ほっと和らぐような、そんな滋味を感じる美味しさでした。
冷やして食べても美味しいですが、夏バテ気味の方はぜひホットでご自愛ください。
教えてくれたひと
ムジナの庭 主宰 鞍田 愛希子さん、鍼灸師 柳田りつこさん
“何歳からでもリスタートできる社会へ”をテーマに、2021年3月に東京都小金井市に誕生した福祉施設「ムジナの庭」。
生活や就労に障害のある方が心身のバランスを取り戻していくため、生活や仕事の支援のほか、植物を糸口にからだやこころのプログラムを行なっている。
鞍田さんが立ち上げたムジナの庭で、ボディケア担当をされている鍼灸師 柳田さんに教えていただきました。
https://atelier-michaux.com
instagram @atelier_michaux