なにすてた? #01 dansko 荒井博子さん | 前編 出会いからすべて始まった

仕事に家事に、ひとによっては育児や介護。
忙しく働くわたしたちは、こころも身体も重くなりがち…ですよね?

いつも軽やかで、すこやかなひと。
ときどき出会うそんなひとたちは、「手放し上手」だって思います。
手放すことで気づき、前に進むことがある。それがこころと身体の養生につながるように思うのです。

さまざまなことを見つめ直すこのご時世。
連載企画「なにすてた?」では、素敵なひとたちのこころの断捨離ものがたりをお聞きしていきます。
 
第1回目は、アメリカ発のコンフォートシューズdansko/ダンスコの
日本総輸入元のブランドディレクターとして、国内でダンスコを紹介している荒井博子さん。
春風を感じるような、柔らかで爽やかな荒井さんにお話を伺いました。
 

前編 出会いからすべて始まった 

荒井さん愛用のdansko XP(ブラック)とLP(ホワイト)とおすすめのPACE(グレー)
 

◆いまの荒井さんを形づくった人生のターニングポイントは?

 
ターニングポイントは、ダンスコと出会ったことかな。

以前はアパレルブランドのデザイナーとして働いていましたが、
当日付き合っていた彼(今の旦那さま)がアメリカへ行くことを決めたので、
仕事を辞めて、一緒にアメリカへ渡りました。
そこで出会ったのがダンスコでした。

アメリカでは学校に行きながら日本食レストランでアルバイトをしていました。
そこで働いているみんながダンスコを履いていたんです。
私もオーナーに勧められて履き始めました。
働いていた日本食レストランは小上がりがあったので、脱ぎ履きしやすくて、ずっと履いていても疲れなくて、
気づいたらダンスコしか履かなくなっていました。

そんな中、「そんなに好きなら日本で販売してみたら?」と通院していた病院の先生のひとことがきっかけで、
ダンスコの本社にメールを出して話が進んでいきました。

アメリカでの永住権も取得し、これからアメリカでどう暮らそうか、
日本食レストランでも始めようかと考えていたタイミングでした。
日本に戻るつもりはなかったのですが、ダンスコのことが一番楽しそうだと思って、日本に戻ることを決めました。

日本に住んでいたら曖昧にしていたことも
「言わないと何も始まらない」ことが分かったのも、自分にとっては大きかったですね。
 
 
アメリカでの生活とダンスコとの出会いがターニングポイントとなった荒井さん。
日本でダンスコを紹介し始めたのが2008年。いまや沢山の方達が、この履き心地の良いダンスコに魅了されています。
 
 
 

いつお会いしても、軽やかな春風を感じるような荒井さん。

 

◆ご自身がすこやかでいるために、手放したことはどんなことですか? 

「過去と情報にとらわれることを捨てて、今と自分の声に集中する」

「今」に集中することを心がけています。
過去のこと、後悔や失敗したこともたくさんありますが、
どう解決できるか対策を考えたら、過去のことは思い過ぎないようにしています。

また情報にとらわれすぎないことが私のテーマ。
こだわりすぎて視野を狭めたり、偏りたくはないので、人からいいよとおすすめされたものや
テレビからの情報も前向きに試してみたいと思うタイプ。

身体のことでいうと、アメリカにいた頃は、生野菜や果物をやめる健康法を試したり、
ベジタリアンも一時期していました。
でもある時、身体を診てくれた知人から「あなたお肉食べた方がいいわね」と言われて。
最初は戸惑ったけれど、お肉をすこしずつ食べ始め言われた通り、身体が元気になった。

それで、気づきました。情報にとらわれたり頭で考えすぎていて、”身体の声”が聞こえていなかったって。
いろいろな情報があり楽しくもありますが、今の自分の身体やこころの声に耳を澄ませることに集中していきたいと思っています。



「お金の心配を手放して、何がやりたいかを考える」

もう1つは、ダンスコを始めたころに強く思っていたんですが、お金が心配でできなくなってしまうのはもったいないと思いました。
ダンスコを始めた当初は特に資金の心配も色々あって、そんな時に自分に言い聞かせて、意識的に手放すようにしていました。

例えば、宇宙銀行というものがあって、そこにはいくらでも私に必要なお金が貯金されていると想像してみました。
お金の心配が全部クリアになったときに、果たして自分は何がやりたいの?と常に考えて自問自答していました。

でもそうしてきたおかげで、お金というものに支配されていたことにも気づき、
自分がなにを本当にやりたいかに確認するくせがつきました。

 
後編「手放してもなお残ったもの、新たに見つけたこと。」へつづく