養生ビギナーズガイド #01 | 矢田部英正著『からだのメソッド』

「養生ビギナーズガイド」は、養生ビギナーである私、鳥羽由梨子が養生マスターを目指すべく学ぶ中で、読んでよかった書籍、使ってよかったアイテムなどをレビューしシェアする連載です。とても私的…なレビューではありますが、“あなたの養生”のヒントになれば嬉しいです!

第1回目にご紹介するのは、私にとってのバイブル。養生の入門書となった1冊です。

『からだのメソッド』(筑摩書房刊)は、
東京・武蔵野市で日本身体文化研究所を主宰する矢田部英正さんの著書。
体操競技をされていた学生時代、練習で受けた姿勢訓練をきっかけに、日本の伝統的な身体技法を長年研究されています。


教わることのなかった基本の動作

”このメソッドは、立つ、歩く、坐る、呼吸する、といった誰もが日常的に行う動作の中から、からだを調える方法を紹介しています。”(「はじめに」より)

よく考えてみると、私たちが当たり前にしている日常的な動作というものは、誰かにきちんと教わることのないものでした。だからこそ、間違って身についた状態でいると、身体にはどこか負担や無理が生じ、不調を起こしてしまうと気づかせてくれました。


自分の身体への気づき

30代半ばの頃、私は日々長時間のデスクワークで不調を感じていました。胸やお腹あたりの締め付け感、腰痛や肩こりなど、デスクワークをされる方なら一度は経験されたことのある症状だと思います。

第3章 坐り方の基礎「自然体の仕組み」では、身体は構造的に強い部分と弱い部分があり、弱い部分は外的なストレスに強くないということ。日本人が腰を「要」と考えてきたことが、自然体の理にかなっていること。といった、「自然な骨格の配置」というものがあることを知りました。

坐り方(座り方)に関しては、猫背や胸を張ることの弊害から、骨盤の正しい据え方、姿勢のメカニズム、
実習として7つのメソッド(立ち腰のポジショニング、みぞおちのゆるめ方、呼吸の仕方など)も書かれています。

私が感じていた不調の原因のいくつかは、日常的に取っていた姿勢が間違っていたこと、それにより呼吸が浅かったこと、
また、身体を締め付ける位置が、本来締め付けてはいけない部分だったことによるものだと知り、探し求めていた答えに出会えた本でした。



不調を感じたら

この本では、”「見えない身体感覚を調えることによって、眼に見えるからだのかたちを整える」という方法が、メソッドの基本的な原則になっています。
ー中略ー
調うことの尺度は、人それぞれの条件に応じて、より自然な骨格の配置を身につけ、より自然な感覚に拓いていくことに、照準を向けています。”(「はじめに」より)

見た眼の形ではなく、身体の内側から自然な状態をつくる手立てを教えてくれます。

みなさんも、理由がわからない不調を感じたときに、『からだのメソッド』を使って、身体の使い方や呼吸の仕方など、日常的な動作を見直してみては?
自分の身体に気づきをもたらし、自然に沿った身体へ導くことが不調改善への一歩を与えてくれるかもしれません。

 

今回の養生ビギナーズアイテム
『からだのメソッド―立居振舞いの技術』
矢田部 英正 著
amazon / 紀伊国屋書店