からだせんせい相談室|むくみのお悩み 後編

身体のことを正しく知り、必要な養生法を手に入れて、毎日をすこやかに過ごしたい。
そんな思いから、日本身体文化研究所の矢田部英正先生にお話を聞く連載企画。
今シーズンは「からだせんせい相談室」と題し、身体に出るさまざまな症状やお悩みについて相談し、ご指南いただきます。

第1回目は、私RELIEFWEAR鳥羽由梨子が、長年の悩みである「足のむくみ」について相談しました。
前編では足がむくむメカニズムについて伺い、自分のむくみにもあらためて気づきました。 

◆ 足がすっきり!むくみ解消メソッド

鳥羽:むくんだ足の解消法をぜひ知りたいです!後編もよろしくお願いします。

矢田部:むくみを解消するには、やはり意識的に動かすことですね。
滞っている部位を動かすことによって、循環をつけることができます。




矢田部:動かし方は、1つは大きく全体を動かすこと。
ウォーキングやジョギングなど、身体全体を使って動かしていく方法があります。

もう1つはピンポイントに動かす方法です。
むくみや腰痛・肩こりのように症状がはっきり現れているものがありますよね。
それには、直接その部位に働きかけて動かす方が、効率的に改善がしやすいですね。
それぞれに技術を知っておくと、改善の手立てになりますね。

鳥羽:むくみを改善したいです!どんな方法がありますか?

矢田部:今回は2つのむくみ解消法をお教えします。

1つ目は、足ほぐし。

足首を片手でぎゅっと押さえ、もう片方の手で足首を大きくぐるぐる回していきます。
5本の足指に手の指を絡めて回すのも、おすすめです。末端の血行がより促進されます。




矢田部:さらにむくみが強い方は、膝下から足首までをほぐします。
足首を回しながら、ひざ下のすねの内側の骨に沿って、上から下まで親指で押していきます。

痛いと感じる部分が、流れが滞っている所。
内部の動きが足りず、コリ固まっている部分です。
その部分をぐっと指で押しながら、足首を回すのが効果的ですね。
固い部分を物理的に動かしてあげる。すると、徐々にコリが解消されます。
柔らかくなったら、次に固まっている部分に移り、ほぐしていきます。

 
矢田部:2つ目は、バタ足。
5分ほどバタ足をすると、むくんだ足が軽くなるのを感じられます。

やり方は、床に坐るか寝転んだ状態で、ストレッチポールの上に脚を乗せます。
その状態で、足を左右交互にブラブラさせ、バタ足します。
ストレッチポールは、膝下から足首の間で、ご自身が気持ち良いと感じる位置に置いてみましょう。
ポイントはリラックスできる姿勢ですること。





矢田部:番外編ですが、かかと上げもおすすめです。

足首がキュッと締まります。
ふくらはぎには、血液を心臓に戻すポンプ機能があります。
かかと上げをすると、ふくらはぎの筋肉にも刺激を与えられます。
30回くらいしてみましょう。





矢田部:
ポイントは両かかとをくっつけた状態で背伸びし、上げ下げすること。

年齢とともに骨盤の力が弱まると、脚がへたって外側に傾く傾向にあります。
両かかとをつけることで、足首がブレにくくなる。
身体感覚が中心に向くと、身体の内側と外側のバランスが取れるようになります。
内くるぶしの方にしっかり緊張を集めると良いでしょう。

鳥羽:解消法を実践してみて、それぞれは短い時間ですが、心なしか脚がすっとして、楽になりました!
私のように、むくみで悩む方に少しでも参考にしていただけたら嬉しいです。
矢田部先生、本日は教えていただき、ありがとうございました!

次回は秋分の頃にお届け予定です。どうぞお楽しみに。



からだせんせいプロフィール
日本身体文化研究所 矢田部英正先生

からだの歴史を研究する文化史家。武蔵野美術大学講師。
日常的な動作の中に歴史や文化があることを発見し、
自分のからだを上手に使いこなす技術を伝える「身体技法講座」を展開。
個別指導の施術プログラム「整体コース」や、音楽家のためのボディワークも行なっている。
その他、からだを整える椅子や食器を制作する作家でもある。
著書多数_『坐の文明論』晶文社、『たたずまいの美学』中公文庫など。

http://corpus.jp



今回の相談者 プロフィール
RELIEFWEAR 鳥羽由梨子

身体の不調と手術をきっかけに、身体や衣服について探求し始め、2020年RELIEFWEARを立ち上げる。
“身につける養生”をテーマに、「養生のための機能服」を開発。
自然な身体の在り方とこころに作用する美しさを大切にしたものづくりをしている。
またWEBメディア『養生通信』を運営し、身体とこころのすこやかさのための“養生”を提案。