からだせんせい相談室|むくみのお悩み 前編

身体のことを正しく知り、必要な養生法を手に入れて、毎日をすこやかに過ごしたい。
そんな思いから、日本身体文化研究所の矢田部英正先生にお話を聞く連載企画。
今シーズンは「からだせんせい相談室」と題し、身体に出るさまざまな症状やお悩みについて相談し、ご指南いただきます。
プロローグでは、身体の不調や向き合い方についてお聞きました。

本編第1回目は、私RELIEFWEAR鳥羽由梨子が、長年の悩みである「足のむくみ」について相談しました。

◆足は流れの関所!?

鳥羽:年中、足がむくんでいます。
自宅が仕事場で、コロナ禍の外出自粛もあり、家にこもりがち。運動不足を自覚しています。
デスクワークや立ち作業も多いため、お昼頃にはむくみが気になり始めます。夕方にはふくらはぎのあたりがパンパンになっていることも。

今日はむくみについて、お話を聞かせてください。そもそも、脚がむくむのはなぜなのでしょう?



矢田部:むくみは、血液や体液が膝下に停留している状態です。
それは血液を心臓に戻す力が弱まっているから起こるのです。
また疲れがたまっていると、腎臓機能が弱まり、より停滞しやすくなります。
老廃物の濾過や浄化作用がうまく働かず、流れが滞るからです。

ご自身の足を見てみましょう。
足のむくみは、身体の流れを見ていく上で、ポイントとなる部分です。
足首の太さは骨の太さと同等なのが理想。

若い方や膝下・末梢循環がうまくいっている方は、足首がキュッとしています。
反対にむくんでいる方は、足首が骨より太くなっている、指で押した時にすぐに元に戻らない、靴下の跡が付いて消えない。
こういった状態は身体が弾力を失っている状態なのです。


鳥羽:私の足首の太さは、骨の太さより太いですね笑 むくんでいます、今日も。
動かすことをサボり気味で、循環がうまくいっていない証拠ですね。
年々むくみを感じることが多く、体質や年齢・環境の影響もあるのでしょうか?


矢田部:女性の方が、むくみに悩む方が多いですね。
もともと女性は、男性より身体が柔らかく、筋肉が少ないことが関係します。
若いうちは運動量が多く、筋力もあります。血液を心臓に戻す力も強いのです。
ですが年齢とともに弱まり、運動量が減ると筋力も弱まります。
高齢になるほど、循環が滞り、むくみやすくなる傾向にあります。



矢田部:きちんと身体が機能していれば、女性は月経がありますので、不要なものを自然と排泄していく能力が備わっています。
ただし身体がストレスやダメージを受けていると、上手に循環と排泄ができない。
そうなると、不要なものも溜め込みやすいので、注意が必要です。

また、女性を取り巻く社会環境や衣服文化の影響もありますね。
身体を締めつける下着・靴下・パンプスなど、ファッションもフォーマルになればなるほど、女性の身体に負荷を強いる傾向があります。
さらに座りっぱなし・立ちっぱなしの仕事環境も多い状況ですね。
ですから、女性が身体の自然を保つには、意識的なケアが必要です。


鳥羽:むくみには、どう向き合っていったら良いでしょうか?


矢田部:目指すのは、ゴムボールのように押してすぐに戻る、弾力のある身体。
弾力をつけるノウハウがないと、体質や年齢を理由に諦めてしまう方も多い。
ですが、ゆるめ方や動かし方を知れば、身体は何歳からでも変化していきます。
長年の蓄積をすぐ改善できるわけではありません。
ですが、ポジティブなイメージを持って、
変化の過程を楽しめると、改善していくモチベーションに繋がります。


次回「むくみのお悩み 後編」では、むくみ解消法を教えていただきます。