なにすてた? #02 PAUSE 吉原友美さん 後編

後編 見つけた “PAUSE”

「なにすてた?」第2回目は、PAUSE(パウズ)の吉原友美さん。
出張花屋や花教室をひらき、日々の暮らしに寄り添う花を届けています。

吉原さんが手放したのは、夫婦関係とそれまでの自分でした。
中編「自分ってなに?どうする自分?」につづき、千葉県印西のアトリエでお話を伺いました。

◆でもやっぱり、植物

―今までを手放したあとも、植物を扱う仕事なんですね。生花にしたのはなぜですか? 

離れることを決めてから、次に何をするか考えていたときに、植物を扱う仕事は絶対やりたいと思ったんですよね。

昔、花屋で1年くらい働いたことがあるんですけど、そのときに印象的な出来事があって。
すごく怒ってお店に入ってきたおばちゃんが、「あーここにきて良かった!お花を選んでたら忘れちゃったわー」 って、笑顔で帰っていかれて。あんなに怒ってたのに。
後日聞いたら、旦那さんと大喧嘩して、家を飛び出した日だったみたい。
そのときに、花の癒す力ってすごいって思ったんですよね。


自然の風景を切り取るイメージで、暮らしに溶け込む色の花をセレクトすることが多いそう。


そういう出来事がいくつかあって、その場でその人に合った花束を作りたいなと思って、生花を扱うことにしたんです。
お店を持とうかなとも考えたんだけど、昔から動くのが好きで、動きながら整えていくタイプ。
自分が動いてお店をひらく移動花屋がやっぱりいいなって。

いまはわたしが動いたら、いろいろな街の人に出会える。花を届けられる。
こうやって自分が表現できているし、すごく楽しいんです。
 

◆花で“PAUSE”を

屋号のPAUSEは、フランス語で、「小休止」の意味なんです。
この名前を考えていたときは、いろんなことがあって疲れていたし、1人で始めなくちゃいけない時期でもあった。
そんなとき、自分に対して「とにかく、わたし一回休もうっ!」って思って…。
「小休止」は自分へのメッセージなんですよね。

同じころに、ティールーム「紅茶と食と台所 糸」のめいさんに声を掛けていただいて、印西に来ることにしたんです。
お店の隣にPAUSEのアトリエを最近作らせてもらいました。
全然想像していなかったけど、ご縁あって…。人生なにが起こるかわからないですよね。笑


手前ができたばかりのPAUSEのアトリエ。奥の建物が「紅茶と食と台所 糸」。素材の味を生かした美味しいランチやデザートがいただける。

ー “小休止”、いい名前ですね

“PAUSE”は自分だけじゃなくて、別の誰かにとってもメッセージになるなって。
花は言葉を持たないけれど、見えない何かで応えてくれる。花との対話の力ってあると思うんです。

お花を買いに来る方って何かしら癒しを求めていたり、
疲れていてちょっと自分の生活を変えたいっていう方が多くて…。
自分がしてきた経験があるから、大変な状況や気持ちが理解できる。
わたしの経験とお花を通して、誰かにできることがある気がしたんですよね。

アトリエもできたし、お花のプライベートレッスンもしてみたいなと思っていますね。
花を通して、1人ひとりに寄り添った「心の小休止」を作っていきたいんです。

◆NGなんてない、人生にも

ーインタビューを終えて

今回はプライベートな内容で、どこまで伺ってよいものか少し悩みました。
それを正直に伝えたら、吉原さんは「なんでも答えますよ。NGなし!離婚は今の自分になるための、ただの通過点だったなと最近は思うんです。」とさらり。
結果、赤裸々なトークに、笑いの絶えない取材でした。

「自分の経験が誰かの役に立つなら、伝えたい。
みんな一番悩んでいることって、誰かに言えないことが多いから。まだまだわたしも模索中ですけど。
いま悩んでいるひとが、読んだ後に心がふっと軽やかになってくれたらいいなって思います。」
 

そう語るいまの吉原さんに感じたのは、険しい山を越えたあとの、清々しさや充実感。そして自分を信じる強さ。
悩むような状況にも、自分自身にもたくさん向き合ったから。
本当の意味で手放したのは、夫婦関係以上に、自分の弱い部分だったんじゃないかな…って思います。

自分で選択した道を自力で歩み始めた吉原さん。
大変だった経験は優しさに変えて。花とともに、これからたくさん人を癒していく。
吉原さんの笑顔からそんな未来が見えた気がします。 

 

番外編 花と養生

コロナ禍になって、自分に花を買う人が増えたそう。
暮らしの中でお花がある風景は、養生にもつながりますね。

でもいざ自分でお花選びとなると、意外と難しいもの。
吉原さんが大事にしているお花との向き合い方を教えてもらいました。

あまり深く考えず、その瞬間いいなと思った花をまずは一輪でも飾ってみるといいですよ。

それと、気にかけてあげることが大事。

目に見えないですが、生き物同士なので、色を見たり、香りを嗅いだり、いってきますと声をかけたり。
水を換えて、ちょっとずつ茎をカットしてあげると長持ちもします。

自分自身もゆとりを持って、深呼吸して、花に接するようにしています。

 

PROFILE

吉原友美さん
千葉県浦安出身。2020年4月に、PAUSE(パウズ)をスタート。
花教室や出張花屋など、花を通して日々の暮らしの中に「ひと休み」できる時間を提案。
千葉県印西のアトリエにて、不定期でショップやプライベートレッスンなども展開予定。
https://pause-flower.com
Instagram:@pause_story_