なにすてた? #03 あたらしい日常料理ふじわら 藤原奈緒さん 後編

後編 すこやかさをつくるレシピ

第3回目は、「あたらしい日常料理ふじわら」を主宰する、料理家の藤原奈緒さんです。
「家庭のごはんをおいしく、手軽に。」をテーマに、オリジナルの調味料『ふじわらのおいしいびん詰め』を手がけています。

東京・東小金井で2020年夏まで食堂を開いていた藤原さん。
コロナ禍をきっかけに食堂を一旦お休みし、「心が幸せになった」とInstagramで記されていました。
中編「ほっとした自分がいた もっと自由になっていい」につづき、東京郊外にあるご自宅でお話を伺いました。 

◆下り道も楽しめる自分に 

ーすこやかでいるために、やめたことは?

「がむしゃらに努力して頑張る」こと、ですかね。
飲食の世界は、無駄なものはできるだけなくして、効率重視で仕事することが必要な業界。そうしないと利益が出ないから。
わたしもその中で自分を追い立てて働いてきたので、すこし前まではスタッフにも同じように口うるさく言っていました。

でもある日、無駄なものをどんどん排除していったら、いつかそこに自分もいなくなるなと感じたんです。

これまでは山の頂上に登っていい景色を見るために、苦しくても山を登ってきたような状態だったと思うんです。
いつか、のために頑張り続ける。
でも、これって終わりがないんですよね。

登っている時が楽しいと思えなかったら、多分わたしずっと幸せになれないなと気づいて。
もっと言うと登らなくてもいい。
下っていてもその時間や風景を楽しめたらいいな、って。
 

©︎大沼ショージ     小金井で野菜を育てる土屋正子さんの畑で

◆じんわりあたため、巡らせる 

ーご自身がすこやかでいるために、続けていることは?

身体が冷えやすいので、シルクの下着を身につけたり、足もとを温めたり、運動してみたり、と色々してきたのですが。
最近は、簡単にできるシールで貼るタイプのお灸を据える習慣が続いています。

血流が悪くて、むくみやすいので、お灸を据えると巡る感じが気持ちよくて。
春や秋の体調の崩しやすい時期や冬の寒い日は、朝出かける前か夜寝る前に毎日しています。
冷えている時や、やる気が出ないなどエンジンがかからない時におすすめです。

お灸にはキャンドルで火をつけ、炎を見ながらお灸の香りとともしばらくぼーっとするのだそう。

お灸を据える場所は、手の親指と人差し指の間の“合谷”(ごうこく)や、くるぶしから指4本分の所にあるツボ“三陰交”(さいんいんこう)。
熱さや痛みを感じず、じんわり温かく気持ちよいと感じる程度にやります。

精神的なことでは、自分にマイナスな言葉をかけないように心がけていますね。


◆疲れた時のためのレシピ

ー簡単に作れて、ストックとアレンジができる「ひじきマリネ」のレシピを教えていただきました。

材料 ひじき、しょうゆ、酢、オリーブオイル

1.ひじき(おすすめは田中海産の周防大島産「寒ひじき」)を水で戻す
2.しょうゆと酢、オリーブオイルを同量ずつ合わせて、ひじきの半分くらいまで浸るようにマリネする。
 食べる時に、おいしいオリーブオイルを少しかけてもいい。

オリーブオイルはごま油でもいいそう。
4~5日日持ちするので、そのまま食べたり、野菜とあえたり、茹で鶏や豚などのソースにしてもおいしいそうです。

料理が得意でなくても、これなら無理なく作れそう。

ほんとうに疲れたときは、お味噌汁を作るという藤原さん。
その日食べたい具を真剣に考えて、それだけを作って食べると少し元気になっているそう。
「正しくなくていいんですよ、料理って」と藤原さん。
 

◆ひとつひとつの積み重なり

ーインタビューを終えて

「いまは生活訓練中なんです」と語った藤原さん。

以前は、仕込みをしながら合間に朝食を食べるような生活をしていたそう。
「人の生活に関わる仕事をしているのに、自分の生活がないのは致命的!」と危機感を感じ、
3年前にすこし離れた場所に引っ越して、自分の生活をイチから見直していったのだとか。


インタビュー中は、自分の思いを説明するための言葉を、ひとつひとつ探しながら答えてくれました。
時にはこちらの言葉や質問に対して、うーん、そうなのかな?どうなんだろう?と、考えこむ姿も。
ひっかかったことには、立ち止まってみる。一旦置いてみて、自分の考えや気持ちを流さないで大事にする。
その積み重ねが、いまの晴れやかな藤原さんをかたち作っているように思いました。

「あたらしい日常料理ふじわら」の屋号のように、ちょっと視点を変えてみたら、あたらしい世界が見えてくる。
そんな“解放感”をつくっていく今後の藤原さんの活動から目が離せません。


PROFILE

藤原奈緒さん 
料理家。東京・小金井市で「あたらしい日常料理 ふじわら」を主宰。
「家庭のごはんをより手軽に、さらにおいしく」をテーマに、オリジナルのびん詰め調味料を開発し、紹介している。
2020年からはびん詰めの製造販売に注力するほか、オーダーメイドでマンツーマンの料理教室をスタート、不定期でイベント営業も行う。
共著に『機嫌よくいられる台所』がある。


http://nichijyoryori.com/
Instagram:@nichijyoryori_fujiwara