おしえて!!からだせんせい 矢田部英正先生 ー季節と身体ー#立春・前編

明日2月3日、暦の上では春となる「立春」を迎えます。春夏秋冬、巡る季節とともにわたしたちの身体も呼応し、変化しています。
身体のことを正しく知り、必要な養生法を手に入れ、毎日をすこやかに過ごしたい。

そんな思いから、「日本身体文化研究所」の矢田部英正先生にお話を聞く連載企画。
季節と身体の関係性と、養生法を教えてもらいます。
立春、春分、夏至、秋分、冬至の1年をかけて、5回の連載でお届けします。

第1回目の「立春編」は序章として、「からだ」「こころ」「生活」を整える手立てを教えている矢田部先生の活動のこと。
そして大きな季節の流れと身体の関係性について、前編・後編でお届けします。

身体についての研究と二十四節気七十二侯の暦

矢田部先生は、「日本身体文化研究所」を主宰し、日本人の身体や文化についての研究を元に活動されています。
研究所では日本の暦「二十四節気七十二侯」に添った「身体技法 基礎講座」の講習会を開いたり、
大学での講師や書籍の執筆活動、また坐の研究が高じ、自ら椅子のデザインや制作もされています。

 

身体について研究をはじめたきっかけは?

体操選手だった経歴が、今のご活動のルーツだとお聞きしました。

学生時代は、ずっと体操競技をしていました。
バランスよく立つ・逆立ちする・正確に止まることが難しく、体操競技はケガの多いスポーツです。
大学時代に出会ったある方の「まっすぐ立てない人間が、まっすぐ逆立ちなんてできないだろう」という言葉が、
自分なりの「姿勢の訓練」のきっかけとなり、身体についての研究の始まりでした。

体操のケガを克服するために探求し始めた姿勢訓練。
ですが、その中で興味を持ったのは、西洋式のスポーツ科学ではなく、東洋の古くからの考えでした。

日本の禅や中国の太極拳・気功、インドのヨガなど、東洋のものに触れる機会がありました。
そこでは、筋力に頼らない力の出し方、骨格を使いこなした姿勢の取り方、呼吸や気の扱いなど、
西洋的な身体の発想とは別の身体の使い方を知ったのが、今の研究につながっています。

東洋的な身体の使い方で、「立つ・坐る・歩く」の日常的な姿勢や動作を見直す訓練をしたことで、体操でも怪我をしなくなり、競技力が高まっていく経験をしたことが自分にとっては大きかったですね。
また仏像の姿勢などを手掛かりとして、身体を「自然のあるべき姿」に配置させることの大切さを実感として得ました。

姿勢訓練をきっかけにした研究は、日本人の身体・文化・道具との関係性についての沢山の著書につながっています。
『からだのメソッド』は私にとってのバイブルでもあり、養生への入門書となった1冊です。ビギナーズガイド#01でも紹介しています。

 

 

二十四節気七十二候の暦と身体について

昔ながらの暦「二十四節気七十二侯」に沿って、身体技法の講習をされていますね。
どんな理由で、暦と身体の関係をテーマにされたのですか?

身体の基礎を深めていくと「立つ・坐る・歩く」日常の動作の中で十分身体のトレーニングができると感じました。
そして身体の3分の2は水分でできています。季節や気象の変化は、身体内部の水分の動きや流れを大きく左右し、体調へと作用していることに気がついていきました。
そこで季節の変化に添って、日常の中で自分の身体も、よりよく自然な形に調整をしていく必要があると感じるようになりました。

古来日本には、二十四節気七十二侯という暦があり、1年を四季より細かく、24の節気と72の侯という季節に分けていました。

研究の中で日本の歴史や文化を学び、その中で昔の人たちは四季の移り変わりによって、暦を使いながら、季節に応じた作物を育てるための知恵や、生活の中で年中行事を行うことで、生活や身体をを整えていたことを知りました。

今の私たちにとっても、身体も季節の要所要所で手立てや工夫を加えていくことで、よりよく循環させていけるのではないかと思い、暦に沿った手立てを教えています。

→後編「身体のサイクルに合わせて、上手に流れに乗ることの大切さ」へ続きます。どうぞお楽しみに。