おしえて!!からだせんせい 矢田部英正先生 #夏至・知識編1
6月21日「夏至」を迎えました。
春夏秋冬巡る季節の変化に、わたしたちの身体も呼応しています。
身体のことを正しく知り、必要な養生法を手に入れて、毎日をすこやかに過ごしたい。
そんな思いから、「日本身体文化研究所」の矢田部英正先生にお話を聞くこの企画。
立春、春分、夏至、秋分、冬至の1年をかけて、季節と身体の関係性や養生法を教えていただきます。
◆夏至期の季節と身体の特徴は?
昼の長さが、1年で1番長くなる日が「夏至」。
季節や身体にとって「安定期」「不安定期」があるのは、#立春編でお伝えしましたね。
夏至の時期は潮の満ち引きが小さく、変動が少ないので、暑くても身体にとっては「安定期」です。
ただ、安定と停滞は紙一重です。
安定期というのは身体の変動が少ない分、怠けてしまうとエネルギーがこもって停滞しやすい。
意識して身体を動かすことで、しっかり解毒を促す必要があります。
梅雨時期の身体の滞りは、腋(わき)の下に出やすいですね。
腋や側腹部、鼠蹊(そけい)部など、腋から繋がるリンパの流れが詰まったり、その付近にかゆみや肌荒れが出やすいのです。
◆夏至期の身体は、汗の処理が大事
汗ばむ季節になり、汗とともに出る老廃物が、皮膚の異常を起こすこともあります。
汗をかくのは良いことですが、かいた汗を放置してしまうと、毛穴から老廃物が内向して、体調を崩したり、体臭にもつながります。
しっかりと汗を処理することが大事です。
ポイントは汗の溜まりやすい場所を清潔に保つこと。
髪の生え際、耳の後ろ、首の後ろ、腋ですね。
濡らした手ぬぐいやタオル・ウェットティッシュでこまめに拭うと、
スッキリとして清涼感が増します。
ほかにも、手首の内側には呼吸器の要があり、実は汗が溜まりやすい。
手から肘下半分を水で洗ったり、濡れタオルで拭うだけでも、全身のスッキリ感が得られます。
汗の匂いが気になる方は、老廃物が内部に溜まっていることが考えられます。
原因のひとつとして腎機能の停滞があり、そういう方は腎臓周辺の筋肉が固くなっていることが多いですね。
汗や老廃物を排泄させる働きの腎臓は、不調に気づきにくいのです。
腎臓マッサージ体操で、ほぐすのをおすすめします。
◆積極的に身体を動かすのが吉
身体を動かして、汗を出し切れる身体にしておくことも大事ですね。
冬より身体が硬くないので、ストレッチやヨガが効くのが夏のシーズン。
腋に滞りが出やすいので、腋を伸ばすストレッチをしたり、左右のバランスを整えるようにヨガをしたり…。
ヨガなどで思い切り動いて、玉のような汗をかくと、汗が皮膚に残らない。毛穴が引き締まった状態を作れると良いですね。
身体が安定している夏至期は、よく動くのが吉。
本来は森林浴や海水浴など、外に出て解放的な活動をして、発散していくのがおすすめです。
今回のからだせんせい:日本身体文化研究所 矢田部英正先生
プロフィール
からだの歴史を研究する文化史家(武蔵野美術大学講師)。日常的な動作の中に歴史や文化があることを発見し、
自分のからだを上手に使いこなす技術を伝える「身体技法講座」を展開。からだを整える椅子や食器を制作する作家でもある。
著書多数_『坐の文明論』晶文社、『たたずまいの美学』中公文庫など。