おしえて!!からだせんせい 矢田部英正先生 #春分・知識編2

3月20日「春分」を迎えました。
春夏秋冬、巡る季節とともにわたしたちの身体も呼応し、変化しています。
身体のことを正しく知り、必要な養生法を手に入れ、毎日をすこやかに過ごしたい。

そんな思いから、「日本身体文化研究所」の矢田部英正先生にお話を聞く連載企画。
立春、春分、夏至、秋分、冬至の1年をかけて、季節と身体の関係性と、養生法を教えていただいています。


春分・知識編1では、春分期の身体についてと不調になりやすい原因について教えていただきました。

今回はその対策と昔ながらの習わしについて伺いました。

春分期に心がけることは?暮らしの習わしとの関係性

気候も身体も不安定な春は、シャキッとせずぼんやりとしてしまうものです。
冬に縮こまっていた身体がゆるみ、内臓や排泄の動きもさかんになる、
変化の大きい春分期は、とにかく無理をしないこと。

無理して規律に自分を従わせようとすると、身体が壊れてしまうこともあるので、
ゆっくり過ごし、自分をいたわることをいつもより心がけてください。

石州清水流茶道教室も行う矢田部先生が点てて下さったお茶で、ほっと一息。

 

春分の時期は春彼岸ともいわれます。

こうした年中行事は季節ごとの特徴があり、季節の節目節目にあります。
旧暦を使っていた昔は、毎月1日(朔日)が必ず新月となり、月の満ち欠けのバイオリズムで暦ができていました。

変動期や停滞期など季節ごとの身体にかかる負担や変化にも特徴があり、
一気に体調が崩れて命を取られてしまうような危険が昔はもっとあったと思います。
そうならないよう、体調の変化を乗り切るために年中行事が果たしていた役割は大きく、また理にもかなっているものだと思います。

 

お彼岸には、おはぎを食べる習わしもあります。
おはぎを食べるのも、甘いものには身体をゆるめる働きがあるので、一つのデトックスになります。

昔の人にとっては砂糖も小豆も貴重だったため、おはぎは特別な日にしか食べられないもので、
自分をいたわる役割も果たしていたのではないでしょうか。

今の私たちにとっては、おはぎではなく、特別なごほうびを自分にあげる日としても良いかもしれません。

 

実践編 「春分期におすすめの養生法」につづく

 

今回のからだせんせい:日本身体文化研究所 矢田部英正先生
プロフィール
からだの歴史を研究する文化史家(武蔵野美術大学講師)。日常的な動作の中に歴史や文化があることを発見し、
自分のからだを上手に使いこなす技術を伝える「身体技法講座」を展開。からだを整える椅子や食器を制作する作家でもある。
著書多数_『坐の文明論』晶文社、『たたずまいの美学』中公文庫など。